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堀辰雄という作家に『風立ちぬ』という自伝的な恋愛小説があります。死の病にかかった彼女と、同じ病の作者との軽井沢のサナトリウムでの愛の日々を描いたものですが、風が吹くということにも生の意味を感じる感性が、この作品を永遠のベストセラーにしました。
私たちは日常的にあわただしい気持ちを持ち続けていると、なにかに気がつく、という重要な感性を忘れてしまいます。誰にでもこの感性はあるのですが、日常性に埋没してしまっている、というのが実情でしょう。
★そういう感性がないと、真剣な恋も生まれないのです。つまり、男と女の感性、あるいは心の波長がが合ったときにだけ恋に花は咲くのです。
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真剣な愛が生まれるには、感性が必要
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ところが、恋にはこの感性が必要であり、またその感性が互いに合ったとき、思いがけない真剣な愛が生まれることがしばしばあります。
美術館に行き、名画を観ているときに好ましい異性とバッタリ会うという偶然よりも、いまのいままで互いに恋心などもたなかったのに、「珍しく今日の雲はきれいだね」と男が口走ったばっかりに「あ、この人私と同じことを考えている」と突然、愛を感じてしまうことだってあるのです。そしてまた、そのほうが本物の恋に発展することが多いのです。
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ある夫婦の話
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ある若い夫婦が結婚したとき、なぜ愛し合ったのか、その理由を聞いたところ、「蟻でした」とふたりが言ったそうです。
その理由を彼女は次のように話したとのことです。
「ある日、ふたりで歩いていたら、彼が突然よろめいて足をくじいてしまったのです。どうして平らな道でよろめいたのか聞いたところ、足を踏み出そうとしたところに蟻が一匹這い出てきたので、あわててよけようとして足をくじいてしまった、というではありませんか。このとき私は、この人の奥さんになりたいと思ってしまったんです」
「バッカじゃない。蟻一匹のために足を捻挫するなんて!」という女性もいるかもしれませんし、むしろそれがふつうでしょう。しかし、それでは「その一瞬」をつかむ女性にはなれないのではないでしょうか。
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恋愛気お互いの感性が触れ合うことで深まる
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「あっ、風が吹いてきたわ」という女性の一言で同じ感性を実感する男もいるのです。もちろん、なにも自然に関する感動ばかりが感性ではありません。
オフィスで、「今日は暑いわね、営業に歩いている男の人はたいへんね」という一言をつぶやいたとすれば、それだけで「ああ、この女性は優しいんだ」と心に刻む男だっているのです。
あるいは、オフィスの床に落ちているゴミを拾う女性を見て、結婚を申し込んだ男もいるそうです。男でも女性でも「その一瞬」は目の前にいつでもあるのですが、気がつかないだけです。
「いい男って、いないわね」という女性がいますが、考え方によっては、その瞬間を見逃しているのかもしれません。そうだとすれば、もっと感性を鋭くする必要があるでしょう。
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